スリランカのこと
スリランカと日本の関係 日本の平和発展の陰に、「ジャヤワルダナ氏」あり
ジュニウス・リチャード・ジャヤワルダナ Junius Richard Jayewardene
(1906年9月17日 - 1996年11月1日)
1978年から1989年までスリランカ大統領を勤めた。彼は英国統治下のセイロンで頭角を現し、独立後内閣で要職を務めた。1977年から1978年まで首相だった。
日本人の知らない歴史の真実
日本の戦後統治は、日米だけでなく、イギリス、中国、ソ連(ロシア)を始めとした連合諸国と極限の交渉状態でした。
1951年サンフランシスコ講和会議において戦勝国である連合軍は、日本に対して厳しい賠償と制裁措置を求めました。
下図は提案した米英中ソの4ヶ国での分割統治の案です。

日本分割占領案 | |
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北海道・東北地方 | ソ連統治 |
関東・中部地方 | アメリカ統治 |
東京 | アメリカ・ソ連・中国イギリスの 共同管理 |
関西地区 | アメリカ・中国の共同管理 |
四国地区 | 中国統治 |
九州・中国地方 | イギリス統治 |
サンフランシスコ講和会議の中身
日本の国際社会復帰を話し合う講和会議で、ソ連の執拗な反対工作にあい、
日本の分断・主権の制限・高額な賠償金が話し合われる中、
強い決意を胸に秘め、ジャヤワルダナ氏はこう語りました。
「我々に対してその賠償を請求するつもりはありません。
何故ならば、我々はアジアの無数の人々の生命を高貴な言葉、偉大なる教師であり、
仏教の創始者である、仏陀のメッセージ
『憎悪は憎悪によって消え去るものではなく、ただ愛によってのみ、消え去るものである』
という言葉を信ずるからであります」
各国が自国の利害を考え、駆け引きを繰り返す中、
全くと言っていいぐらい利害のない「日本」に対して、
被害を受けた国の代表でありながら日本を擁護する演説をした。
敗戦国に対して、利害を超えて「尊敬」と「共感」を表明し、
日本の独立を強く支持するジャヤワルダナ氏の言葉に、万雷の拍手が沸き起こった。
この演説が講和会議の流れを変え、
日本の国際社会復帰を大きく後押ししたのである。」
日本はソ連、ポーランド、チェコスロバキアを除く48ヶ国と講和を結び、
国際社会復帰を果たした。
のちに、故吉田茂元総理は
「日本に対する好意、同情、友好の念を日本国民は一生忘れることが出来ない」
と語った。
その後のジャヤワルダナ氏と日本との交流
1989年、昭和天皇の大喪の礼に本人の希望により夫人とともにプレマダーサ大統領に代わって参列。既に肩書きは「前大統領」だったが元首級参列者・大統領同格の国賓として待遇された。
1991年、日本の仏教関係者の招待で広島市を訪れ、広島平和記念資料館を見学。
1996年11月1日、90歳で死去に際し「(死後も)スリランカと日本の未来を見続けたい」という遺言通り、献眼、角膜を「右目はスリランカ人に、左目は長野県在住の女性へ提供された。
※スリランカではスリランカ人から提供された角膜を国内外へ無償で贈る運動を行っており、日本にもこれまで約2800の角膜が贈られている。
スリランカってこんな国 スリランカ民主社会主義協和国の現状
スリランカは、インド洋に浮かぶ島国で、インドの南東、赤道から80km北に位置しています。1948年の独立以前は『セイロン』とも呼ばれ、名産品である紅茶(セイロンティー)とともに今でもその名を知られています。
熱帯気候で、美しいビーチが広がり、また宝石やスパイスがたくさん生産されていることから、太古の旅人達からは「楽園」とも呼ばれています。
内戦
少数派タミル人の反政府武装勢力、タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)と、政府側との間で26年間(1983年7月23日 - 2009年5月18日)内戦状態となっていましたが、反政府武装勢力を一掃し、2009年5月19日、ラージャパクサ大統領が議会で戦闘終結を宣言しました。
経済
スリランカは経済成長の道を進み始めた。道路や港など、急速な勢いでインフラが整備され、経済の中心都市コロンボの様相は驚くほどに大きな変化を遂げ今は世界から最も注目される国と変わっています。
スリランカの概要
正式国名 | スリランカ民主社会主義共和国 Democratic Socialist Republic of Sri Lanka |
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国土面積 | 65,607平方キロメートル(北海道の約0.8倍) |
人 口 | 約2,067万人(2014年外務省各国地域情勢参考) |
首 都 | スリ・ジャヤワルダナプラ・コッテ ※事実上の首都はコロンボ |
商業都市 | コロンボ |
民 族 | シンハラ人(72.9%) タミル人(18.0%) スリランカ・ムーア人(8.0%) |
宗 教 | 仏教徒(70.0%) ヒンドゥ教徒(10.0%) イスラム教徒(8.5%) ローマン・カトリック教徒(11.3%) |
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言 語 | 公用語(シンハラ語、タミル語) 連結語(英語) |
元 首 | マイトリーパーラ・シリセーナ大統領 |
気 候 | スリランカの気候は熱帯性の高温多湿で、モンスーン(季節風)の影響を大きく受けます。コロンボを含む南西部は、南西からのモンスーンの影響を受けて、年に2度(4〜6月、10〜11月)の雨季があります。国土の反対側の東部は、北東からのモンスーンの影響により11月〜3月に雨季を迎えます。北部地域は全体的に降水量が少ない乾燥地帯となっています |